日本ではお茶の間から消えて久しいものの世界的にはアメリカのUFCを頂点に隆盛を極めている総合格闘技界の火付け役「グレイシー柔術」
「400戦無敗の男」(なんて絶妙なキャッチコピーか!)こと、ヒクソン・グレイシーの近著紹介 に、興味深い記述が。
(以下引用)
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■高田延彦について
「彼は、私よりも体が大きく、パワーがある。打撃技もうまい。高田に、格闘家としての素質がなかったわけではないだろう。しかし、リアル・ファイトの経験が乏しいのが、彼の致命的な問題だったと思う。高田延彦は戦士ではなく、アスリートだった。腕を極(き)められると、いとも簡単にギブアップした。それは、スポーツマンとしての態度だった。」
■船木誠勝について
「船木は、日本刀を携えて入場してきた。その姿を見て、私と同様、彼がアスリートとしてではなく、戦士として戦いに臨もうとしているのだと思った。私も船木も、何があろうとギブアップしないという覚悟で試合に臨んでいた。実際に、私のチョーク・スリーパーに対し、船木はギブアップする素振りをまったく見せなかった。船木は、真の戦士であり、サムライだった。」
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なにしろ、2000年のヒクソン戦での船木は白装束に日本刀、敗戦後は引退宣言!(所属団体パンクラスの創設者にして不動のエースなのに)当時は業界内含め、衝撃。その後、映画界に転身したり、(プロレスを否定して総合格闘技路線で独立したのに)またプロレスに戻ってきたり、と意気軒昂。いまでは武藤の新団体所属と、留まるところを知らない感じ。
もともとは高田同様、新日本プロレスからUWF、藤原組を経てパンクラスを旗揚げ。「秒殺」なる言葉を生み出すなど、なにかと衝撃的なタイプです。
一方の高田は新日本プロレスで将来を嘱望されつつ、前田日明ら先輩たちと独立し、UWF、UWFインターナショナルを経て、選挙に出馬してみたり、PRIDE”統括本部長”(もともとPRIDEという興行自体がヒクソン×高田戦のために企画された経緯もあり)とハッスル”高田総統”、いまではお茶の間タレントの座に収まってます。
キャラクターの濃い人材が満載の業界でも抜群のキャラの二人ではありますが、ヒクソン自身は船木の方が個人的に好きみたいですね。たしかにデビュー時代からエリート然として担がれた神輿に乗るのが処世術の高田と、やんちゃな変わり者が多い斯界でも「メーター振り切ってる」(仇名がマッドネス・・・)船木の違いって、エリートサラリーマンと若手起業家くらいあるなぁとは昔から思っていましたが、うまいこというなぁと。